試行錯誤の末、5年ほど前に納得の味が完成したという秘伝のだしを、小皿に入れて見せてもらいました。色の濃いほうの小皿は、だしを調味した特製つけダレです。



さっぱりとした黒豚料理を探していてたどり着いたのは、「遊花膳 こうの」。こちらでは、厳選された薩摩黒豚のしゃぶしゃぶが食べられます。さっと湯通ししただけの、さくら色の肉を口に運ぶと、甘みを含んだ黒豚のうまみがじゅわっと口の中いっぱいに広がりました。薄切りなのに、もっちりとした歯ごたえ。ひと切れをじっくりと味わっていると、自然と表情がほころんでくるほど幸せな気持ちがあふれてきます。おいしさの秘密は、肉の品質と鮮度はもちろんのこと、秘伝のだしにありました。鍋から引き上げた肉や野菜がタレを薄めるのを防ぐため、こちらでは、ただの昆布だしではなく、10時間以上ことことと煮込んだだしを使います。そのだしに味をつけてタレを作るからこそ、いつまでもタレが薄まることがないのだそうです。



じつはここ、もともと料亭で日本料理の修業をしていた店主が夫婦で営む京風会席のお店。それだけに、薩摩料理の独特な甘さやくせが抑えられていて、やさしい味わいになっていました。県外からのお客さんには、砂糖を控えめにし、使用する醤油を薄めのものに変えるなど、さらにひと工夫してくれるのがうれしい計らいです。また、野菜のほとんどは自家製。店主のご両親が愛情をこめて育てていらっしゃるのだそう。こじんまりとして落ち着いた雰囲気のカウンターでは、母娘水入らずの、しっとりとした話もよく似合います。

旬の先付に鹿児島近海でとれたお造り、そして食前酒。食前酒も店主のお母様の手づくりで、「けせん(シナモン)酒」や「紫蘇酒」など数種類が用意されています。
今野CAの“鹿児島”旅プランナー
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